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穀物たっぷり、「おこし」のような見た目
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美容に嬉しい、砂糖不使用のカンジョンも
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水飴特有のねっとり感がクセになります
「カンジョン」
穀物の栄養がたっぷり!
韓国の伝統菓子「韓菓(ハングァ)」が発展を遂げたのは、今からおよそ1,000年前の高麗時代のことでした。中国から仏教などとともにお茶の文化がもたらされて宮殿や寺で茶事が儀式として開かれるようになり、そのお供としてお菓子が欠かせない存在となっていきました。
韓国の食には「薬食同源(食べるものは全て薬になる)」という思想があります。お菓子にはお米から作られる飴のほか、薬としても価値が高かったはちみつやゴマ油、松の実、高麗人参、生姜、シナモン、柚子、大豆などがふんだんに使われているので、当時どれだけ高価なものだったかは想像に難くありません。今回ご紹介する「カンジョン」も、そんな貴重な食材を使ったお菓子のひとつです。
カンジョンは、もち米や大麦を加圧してから一気に減圧して何倍にも膨らませたポン菓子に、ゴマやくるみ、木の実などを混ぜ合わせ、水飴やはちみつで固めたものです。雷おこしを思わせる見た目ですが、水飴特有のねっとり感が強く、サクサクした日本のおこしとは異なります。お米の代わりにゴマやかぼちゃの種、ナッツ、エゴマなどを固めたカンジョンもあります。
ビタミンやミネラルが豊富な栄養価の高い材料が使われているので、現代における栄養バーみたいなものかもしれませんね。「強精」という漢字表記が、とても納得感があります。お店によってはメープルシロップやゆず果汁などを使った砂糖不使用のカンジョンも売られているので、美容が気になる人々にとっても嬉しいお菓子と言えそうです。
昔は、カンジョンは宴の席や祭祀で食べるものだったそうですが、今では正月菓子や贈り物のほか、日常的な茶菓子としても親しまれています。最近は元来の茶色っぽいカンジョンだけでなく、果物や野菜由来の天然色素などを使った色鮮やかなカンジョンも人気だそうです。口の中にじんわりと広がる水飴の甘さが、お茶請けにぴったりなお菓子でした。
(2025年3月掲載)